次郎柿原木・治郎柿原木

次郎柿原木の地

お茶の工場、二種類あり????

お茶処・森町。新茶がおいしい季節、なう。
そんな折、「お茶工場に見学に来ませんか?特別に見せてあげますよ!」とお茶工場に招待されて、うきうきと、遠州森茶農協さんにうかがってきました。天宮(あめのみや)という地区、大洞院からほど近いところです。

とは言うものの、「お茶工場って、なんだろな????」とフシギ状態。開口一番、質問したのは…。「すみません。お茶工場って、なんですか。よく、お茶屋さんの横っちょにある、あのいい香りのする建物とは違うんですか????」ヤマチョウ鈴木長十商店さんとかのお店の裏にあったりするお茶工場を思い浮かべながら、聞きてみました。

なんと、お茶の工場って、二種類あるんですって、多くの場合。ひとつ目は、お茶農家さんが一年かけて育てたお茶の葉を、「荒茶(あらちゃ)」という状態の製品にするお茶工場。もうひとつは、その荒茶を買ってきたお茶屋さんが「ウチのブランドのお茶」として売れるように、最後の手間として「火入れ」や「ブレンド」をするお茶工場。もちろん、両方の工程とも手がける工場もあったりするけど、だいたいこの2つに分類されるだとか。そして、お茶工場の香りも二種類、えぇっ?

お茶屋さんのお茶工場がしている「火入れ(ひいれ)」は、より長持ちするように、とか、より味わい深いお茶にする目的で、お茶工場から買ってきた荒茶の水分を飛ばす作業。「ブレンド」は、いろいろな荒茶を、いい感じの配合で混ぜ合わせる作業。なんとなく、「ブレンド」っていうと、まぜこぜにしちゃう作業で、純粋なままのお茶のほうが、いいような気がしちゃうけど、ホントは逆。それぞれの荒茶のいいところ、たとえば、香りのうんといい荒茶と、味のうんといい荒茶をベストなバランスで混ぜ合わせて、香りも味もいいお茶に仕上げる大切な作業なので、これぞ、お茶屋さんの腕の見せ所なんですって、えへんっ。だから、お茶屋さんの工場のそばを通ると、なんとも香ばしい匂いが漂っているんですって。なぁるほど。

お茶農家さんのお茶工場とは、なんぞや。

その前のほう、お茶農家さんがやっている荒茶を作る工場ですが、遠州森町には、大きなところが7つもあって、そのほかにも、個人でやっているところ、こじんまりした感じでやっているところも、いっぱいあるんですって。で、そのひとつが、遠州森茶農協さん。遠州森茶農協さんは、おおよそ20軒くらいのお茶農家さんが集まって、いっしょに、荒茶を作っているんだそうです。

このお茶工場、お茶を摘んできては、そのつど加工するものだから、お茶摘みのシーズンのみ、動いているんですって。ちなみに、一番茶のシーズンは、4月の下旬から5月上旬くらい。二番茶は、一番茶終了から48日後くらいからなんだとか。

ということで、今日、私が見学するのは、このお茶農家さんのお茶工場。荒茶のできるまでを見ることができるのでありました。じゃじゃ~ん。

お茶の葉はVIP待遇で待機。

さっそくお茶工場の見学開始。
この工場には、各お茶農家さんの摘んできたお茶が軽トラックに載せられてやってきます。そして加工を待つわけですが、ただ、置いておかれるワケじゃ、ないんですって。

待機するお茶
お茶畑から摘まれてたお茶は、ここで待機。

新鮮な摘んだばかりのお茶の葉は、そのまま置いておいたら、しおれちゃう。だから、水分を多く含んだ風を、びゅびゅーっと当てて、乾燥しちゃわないよう、大切に大切に保管されます。といっても、すぐその日のうちに、次の工程に行きますけど。

そして蒸し。

お茶の葉を蒸す
お茶の葉っぱを蒸しているところ

荒茶づくりで、ある意味、とっても大切なのが、この蒸しなんだとか。

お茶の葉は、蒸してあげることで発酵がとまる。もし、発酵を止めないと、どんどん発酵が進んで、最後には紅茶になってしまう。発酵する前に蒸すから、緑茶になるんですって。

そして、蒸す時間も、とても大切。
遠州森町の深蒸し茶は、有名ですが、「深蒸し」とか「浅蒸し」というのは、この蒸しの時間の違いなんだとか。浅蒸し茶の場合は、27秒とか、だいたいその位の時間、蒸すのだけど、深蒸しの場合は、60秒とか、90秒とか、そういう長さで蒸すんだそうです。

蒸しあがったお茶
蒸しあがったお茶。しんなりしている。

と、蒸す機械の前で、説明を聞いていたら、とてもいい香りが…。ちょうど、和菓子屋さんから香ってくるヨモギを蒸すような、すこし青いようなほわほわした香り。「お茶工場のそばを通るとする香りは、この蒸しているときの香りだよ」と教えてくださいました。そしてちょっとキリっとした表情をして「ね、この機械の前には、いつも人がいるでしょ。色つやをじっくり見たり、すくって香りをかいだり、片ときもはなれないでしょ!ここの蒸しの香りの良し悪しが、荒茶のできを決めてしまうんだよ!」と。

あとは、ひたすら、乾燥、乾燥。乾かす。乾かす!

揉捻機
揉捻機
精揉機
精揉機
荒茶ができるまで
蒸しあがりから、乾燥の機械を通るごとに、だんだんにお茶っぽくなってゆく。

蒸しあがると、あとは、ただ、ひたすら乾かすのみとなります。

粗揉機とか、揉捻機とか、中揉み機とか、精揉機とか、乾燥機とか、そういう機械を使って、どんどんどんどん、お茶の水分を飛ばしていくんですって。強力な風がぶおぉぉ~と出る、乾燥機みたいな機能の機械。ぐりぐりこすり付けるようにして、お茶の葉の水分を均一にしていく機械。手のひらで揉むようにするみたいに、お茶の葉を伸ばしていく機械。いろんな機械を使って、乾燥させていくんだそうです。そうしてできたのが、荒茶で、このお茶工場での完成品。

ずいぶん大掛かりな機械をたくさん使っているけど、要は、蒸したお茶の乾燥。でも、よく聞く「手もみ」って言うのは、どこにあるのかしら?どこの過程?と疑問に思い、聞いてみました。

なんと、まあ。この大きな工場の蒸し以降のすべての工程を、ひとつの「装置」で行うのが、手もみ。というか、言い方が逆かも。蒸したあと、人間が、職人さんが、「えいやー」と振ったり、揉んだり、こねたりして乾燥させる工程をしていたのを機械に置き換えたのが、このお茶工場なんですって。で、続いてびっくりなことに、蒸しに入ってから、乾燥が終わるまで、工場の機械でやっても、職人さんがやっても、おんなじ4時間かかるんだそう。違うのは、いっぺんにできる量。この工場では、130kgとか、そういう単位でいっぺんに作れるけど、人間だと、4kgとかそういう単位。ゼロの数が違っちゃう!つまりは、そういうことなんですって。

それに、摘みとったときの茶葉が130kgでも、荒茶に仕上がるときは、その5分の1とか、うんとコンパクトになってしまうんだそう。とくに新茶とか、若くて水分の多い、一般にいいお茶とされるような葉っぱは、それだけできあがりのときに、量が減ってしまいます。そりゃ、元の水分が多いのだから、ある意味当然かも。品評会に出すような、本当に良いところの葉っぱで作ると、それはそれはビックリするほどちょこっとしか、できない!

完成した荒茶
きれいにできあがった荒茶。あとは、袋づめ。

こうしてようやくできあがった荒茶は、袋詰めされて、お茶屋さんに売られていくのだそう。

もう、今日も、遠州森町のお茶屋さんに納品されていった新茶たちが、いるんですって。きっと、お茶屋さんのお茶工場で、おいしいお新茶になっていくのね。とっても、とっても、その後が気になります。ということで、お茶工場見学のお礼を言って、工場をあとに…。お茶屋さんに行って、今年のお新茶、買いたくなりました。お茶農家さんのお茶工場のことを知ったら、なおさら、森のお茶がおいしく感じるようになった気がします。さっそく、遠州森町のお茶屋さんへゴーです。

あとね。この荒茶の状態。普通にお茶屋さんに売っているお茶より、一歩手前の状態だけど、あえてこの状態のがスキっていう荒茶ファンもいるんですって。へぇ。興味深々…。

お茶農家さんのお茶工場見学、ありがとうございました。ぺこり。

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